研究課題/領域番号 |
08558097
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内川 嘉樹 名古屋大学, 工学部, 教授 (20023260)
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研究分担者 |
児玉 哲司 名古屋大学, 工学部, 助手 (50262861)
川瀬 和秀 岐阜大学, 医学部, 助手 (40234067)
松島 俊也 名古屋大学, 農学部, 助教授 (40190459)
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キーワード | 人工臓器 / 医用材料 / 失明 / 人工網膜 / 細胞培養 / 神経移植 |
研究概要 |
様々な医用材料によって、多くの視覚系疾患の治療が可能になった。ところが最も重篤な視覚系疾患ともいえる「失明」を回復させるような治療方法は、いまだ開発されていない。もし失明患者に光覚(光を感じる感覚)だけでも回復させることができれば、大きな助けとなるだろう。そこで我々は、光覚再生を目的とした視覚代用臓器を開発すべく、培養細胞と光電素子からなる「体内埋め込み型人工網膜」の研究を進めている。 我々が作成を試みている人工網膜は、光電素子と、その上に培養される神経細胞とグリア細胞、神経細胞の軸策を高次中枢へ導く末梢神経繊維から構成されている。外界の光信号は光電素子によって電気信号へ変換され、白金電極を通じて細胞群へ与えられる。この信号は神経細胞によって捉えられ、さらに高次中枢へと送られる。なおグリア細胞などの支持細胞と神経細胞を共培養することで、神経細胞の軸策成長を促進させる予定である。そして埋め込み手術を容易にするために、前根部の後眼房に人工網膜を埋め込み、末梢神経繊維を用いて人工網膜と脳の高次中枢を架橋手術し、人工網膜中の神経細胞の軸策を中枢へ導く計画である。以上のように神経細胞を「生きた結線ワイヤー」として用いる点が、この人工網膜の特徴である。 我々は本年度、驚異的な再生能力を持つことで知られているイモリの神経細胞を素材に選び、神経細胞の培養実験を行なった。まお前述のフォトダイオードアレイがまだ完成していないので、培養用ディッシュとして、市販の多電極ディッシュを代用品として使用した(この多電極ディッシュには、石英ガラスとITO(indium-tin-oxide)からなる基盤上に50μメートルの大きさの多数の白金電極を150マイクロメートル間隔で縦横8×8に配置されている)。その結果、培養開始20日前後で、細胞体(約10μメートル)の10倍から最大20倍もの長さの神経突起を成長させることができた。
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