研究課題/領域番号 |
08558099
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
長岡 昭二 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30254147)
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研究分担者 |
金森 敏幸 工技院物質工学研究所, 高分子材料プロセス, 主任研究官
中山 陽一 (株)東レリサーチセンター, 表面科学研究部, 主任研究員
窪田 倭 聖マリアンナ医科大学, 第一外科, 教授 (20075500)
川上 浩良 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10221897)
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キーワード | 人工臓器 / 埋込み型人工肺 / 含フッ素ポリイミド / 中空糸膜 / 乾湿式相転換法 / ガス交換能 / 生体適合性 |
研究概要 |
本年度は大静脈内留置型埋込み入工肺をシステムとして確立するため、ガス交換能が高く(有効面積が大きい)装置工学的にも優れる中空糸膜モジュールの作製を検討した。ガス交換能を飛躍的に向上させるため中空糸の膜構造は薄いスキン層とその支持体となる多孔質層からなる非対称構造の形成を試みた。作製方法は我々が開発した乾湿式相転換法を用いair gap中で中空糸表面に気体分離活性を有するスキン層を形成させた(乾式プロセス)、次にメタノール凝固浴中でスピノ-ダル分解による液体-液体分離を誘起させたあと(湿式プロセス)、中空糸内部にスキン層の支持体となる多孔質層を形成させ、非対称構造を有するポリイミド中空糸膜を作製した。このプロセスを連続的に行なうことにより薄い表面スキン層を有する中空糸膜の作製が可能となった。得られた中空糸膜の外径:約700um、内径:約500umとなり、外表面は気体分離活性を示す薄膜スキン層、内表面はスキン層の支持体となる多孔質層が形成されていることが確認できた。従来より非対称構造を有する中空糸膜の作製は困難とされていたが、乾湿式相転換プロセスを用いることにより超薄膜スキン層を有する含フッ素ポリイミド中空糸膜の作製に成功した。膜型人工肺に用いられているPDMSに比べると酸素で約80倍、二酸化炭素で約25倍増加した。 この中空糸膜のIn Vivo実験を末梢静脈内挿入法により行った。ポリイミド中空糸 を家兎の下大静脈内にし、7日間後に全身麻酔下でヘパリンを投与、脱血後、試料を挿入した静脈を長軸方向に切開して肉眼的に血栓を調べると共にSEMでも血液付着成分を観察した。その結果、PDMS膜表面にはフィブリン・血栓の形成が碓認されたが、ポリイミド膜上には血小板の粘着やフィブリンの析出は殆ど見られず、良好な血液適合性が確認された。
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