本年度の計画に従い、平板上のシリコーンゴムを用いて温度応答性ハイドロゲルの固形化および温度変化させたときのシリコーンゴムの動きを検討した。 1.シリコーンゴム表面への重合性基の導入 膜厚0.5mmのシリコーンゴムをスペーサーを介してガラス板に挟み、水酸化ナトリウム6wt%を含むメタノール/水の混合溶液を接触させてアルカリ処理を行った。次に、重合禁止剤としt-ブチルカテコールを含んだ3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの溶液を接触させて80℃で24時間反応させ、シリコーンゴムの片側の表面に重合性基を導入した。 2.温度応答性ハイドロゲルのシリコーン表面への固定化 N-イソプロピルアクリルアミド、ポリエチレングルコールモノメタクリレート、架橋剤であるビスメチレンアクリルアミド、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリルのメタノール溶液を十分に窒素置換した溶液を、重合性基を導入した表面に接触させ、80℃で24時間保ち、重合と同時にシリコーン表面にゲルを生成させた。反応後、メタノールのみ、メタノール75%水溶液、50%、25%最後に水のみにゲル固定化シリコーンゴムを浸漬して、未反応モノマー等を除去した。 3.温度変化させたときのゲルの動きの観察 水中で精製の終了したゲルを10℃の水中で平衡膨潤させるとメタノール中よりも膨潤度が大きいためにハイドロゲルを外側に大きく変形して断面から観察するとC字型になった。この状態で40℃の水中に浸すと温度に応答してゲルは収縮して、断面から観察するとゲルを内側に逆C字型に大きく変形した。 以上のように今年度は温度応答性ハイドロゲルを固定化に成功した。現在、このハイドロゲルを完全にシリコーンゴムで被覆した、空気中で駆動するゲルを調製中である。
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