研究課題/領域番号 |
08559001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
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研究分担者 |
岡部 高志 地熱技術開発(株), 技術開発部, 研究員
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00184664)
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キーワード | 地殻応力 / 岩盤応力 / 現位置応力 / 地熱 / ドリリングインデューストフラクチャー / DTF / DITF / ブレイクアウト |
研究概要 |
前年度までに開発したドリリングインデューストフラクチャー(DTF)を用いた現位置応力評価法に、ボアホールブレイクアウト(BO)の情報を加えた応力評価法を定式化するとともに、逆問題解析手法を構築し、パーソナルコンピュータレベルで解析可能なプログラムコードを開発した。これを用いて三つめ代表的地熱サイトの坑井から得られた実データを解析し、本研究で構築した応力場解析方法の適応性並びに有効性を明らかにした。具体的に解析対象として採り上げた三本の坑井は、湯の森フィールドのTG-2井、我が国のHDRサイトである肘折フィールドのHDR-2井、及び英国HDRテストサイトであるRosemanowesフィールドのRH-15井の三坑井である。TG-2井については4深度で得られたDTFのデータを用いて応力評価を実施した。東北地方で考えられている広域的な応力場と整合する結果が得られた。また、HDR-2井については、合計8深度で観測されたDTFの周方向位置のデータのみを用いて解析を実施した。AEの震源メカニズム解から推定される主応力方位と調和的な結果が得られた。RH-15井においては、2深度のDTFの周方向位置データ、1深度の斜め小き裂のデータ及び6深度のBOに関するデータを用いて解析を行った。震源メカニズム解並びに応力解放法による結果と整合する結果が得られた。なお、地熱井を対象とする場合には熱応力の影響について検討が必要である。この点についても検証を行い、TG-2井では、約1000m程度の深度において熱応力が10MPa以下であればこれを無視しても評価結果に大きな影響を生じないことも明らかにした。
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