研究課題/領域番号 |
08559002
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
田中 朝雄 東海大学, 医学部, 助手 (50192175)
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研究分担者 |
村上 博 (株)日本ハム, 中央研究所, 研究員
田中 真奈美 通商産業省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 主任研究官 (80188341)
三井 洋司 通商産業省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 首席研究官
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キーワード | 異種生物間情報伝達 / 脳・心筋特異遺伝子 / インターロイキン受容体 / CE5B3 / Green Fluorescent Protein / 融合蛋白質 |
研究概要 |
1)異種生物間情報伝達物質をコードする遺伝子の検索 マウス脳(ニューロン)モノクローナル抗体CE5(筑波大学 山本三幸 博士より供与)は、大脳錐体層や心筋細胞、トリパノソーマを認識する。このモノクローナル抗体でヒトの脳および心臓のcDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性コロニーを得た。この陽性クローンのヒトの各臓器別発現の相違をNorthernブロットで調べたところ、クローンCE5B3は脳および心臓のみに発現が認められ、他の臓器にはシグナルは認められなかった。 2)異種生物間情報伝達物質をコードする遺伝子配列決定 脳・心筋特異遺伝子、CE5B3の全遺伝子配列を決定し、そのアミノ酸配列より膜貫通領域の存在を発見し、またモチーフ配列検索によりインターロイキン受容体の配列を有することが判明した。インターロイキン受容体では、その5'末端側にシグナル・ペプチドなる疎水性の領域が存在することが知られているため、5ユRACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)システムにより、CE5B3遺伝子の上流を検索し、塩基配列を決定した。 3)CE5B3類似遺伝子の発見とその遺伝子配列決定 クローンCE5B3によるMultiple Tissue Northern(MTN)Blotで、2)で決定された遺伝子長以外に若干短いバンドが認められ、この遺伝子以外にも同様の遺伝子が存在することが予測された。GENE TRAPPER cDNA Positive Selection Systemで陽性クローンを検索し、クローンCE5B3の遺伝子中数カ所でスプライシングを起こし短くなっているクローンCE5B3-GT8を見い出し、その全遺伝子配列を決定した。 4)異種生物間情報伝達物質をコードする新規遺伝子の登録 クローンCE5B3により生成される蛋白質をCE5B3αとし、クローンCE5B3-GT8により生成される蛋白質をCE5B3βと名付け、GenBank/EMBL/DDBJに登録した。 5)異種生物間情報伝達物質の機能解析 これらの遺伝子から発現される蛋白質の機能解析のため、蛍光物質Green Fluorescent Proteinとの融合蛋白質を細胞内にトランスフェクトし、蛍光の存在により蛋白質の局在を知る実験を行っている。またGlutathion S-Transferaseとの融合蛋白質を作成し、thrombinでその融合部を切断し、異種生物間情報伝達物質CE5B3αおよびCE5B3βを単離し、それに対する抗体を作成し、細胞およびマウスへの影響を検索中である。さらに、これらの遺伝子のノックアウト・マウスも作成中である。
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