研究概要 |
1. ナラの葉,アワ、ヒエ、玄米、ソバを主成分とするライチョウ用人工飼料を調製し、実際ライチョウの若鳥,成鳥に給与して成長、栄養素の利用性、エネルギーの利用率、粗繊維の消化率などを調べた結果、ライチョウ用人工飼料として極めて有望であることが判明した。しかし、下痢により突然死するものが見られという問題点があった。 2. ライチョウ用人工飼料の成分のナラ葉ミールの粒度が飼料成分の利用性と嗜好性に及ぼす影響を調べた結果、これは飼料の嗜好性と栄養素の利用性に影響しなかった。 3. 低地飼育ニホンライチョウ(Lagopus mutus japonicus)の盲腸内フローラを調べた結果、有害菌であるEnterobacteriaceaeおよびBacteroidaceaeが最優勢で存在し、一方有用菌のBifidobacteriaは少数しか存在せず、Lactobaciliにいたっては全く存在しなかった。このような低地飼育ライチョウの腸内菌叢の改善に緑茶ポリフェノールとフラクトオリゴ糖が有効で、これら両物質は腸管内の有害細菌であるEnterobacteriaceaeやBacteroidaceae、および腐敗産物のフェノールを減少させ、有用細菌であるBifidobacteriaや酢酸を有意に増加させた。 4. 以上の結果から、ライチョウの低地飼育用人工飼料は、ナラの葉、アワ、ヒエ、玄米、ソバを主体とする我々の開発した飼料に緑茶由来ポリフェノールあるいはフラクトオリゴ糖を添加することによって下痢の発生抑制が可能で、これらを添加したものが低地でのライチョウ増殖用人工飼料として最も適していることが明かになった。
|