研究課題/領域番号 |
08559008
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
応募区分 | 試験 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 佳男 名古屋大学, 工学部, 教授 (60029501)
|
研究分担者 |
市田 昭人 ダイセル化学工業(株), 総合研究所, 研究員
幅上 茂樹 名古屋大学, 工学部, 助手 (30252266)
中野 環 名古屋大学, 工学部, 助手 (40227856)
八島 栄次 名古屋大学, 工学部, 助教授 (50191101)
|
キーワード | 高速液体クロマトグラフィー / 多糖誘導体 / セルロースフェニルカルバメート / アミロースフェニルカルバメート / キラル充填剤 / 光学分割 / 不斉識別 / キャピラリー電気泳動 |
研究概要 |
1.フェニル基上にメチルとハロゲンを両方有する新規なセルロースやアミロースのフェニルカルバメート誘導体を合成し、大孔径、多孔質シリカゲルに担持し、HPLC用の固定相として用い、様々のキラル物質の光学分割に利用したところ、メチル基とフルオロ基をメタ位に有するセルロース誘導体が高い不斉識別能を有することがわかった。 2.1.で合成した多糖誘導体の幾つかは、クロロホルムなどの極性の低い溶媒に可溶であったので、光学異性体と多糖誘導体とが相互作用している様子をNMRを用いて直接しらべることができた。例えば、セルロースの3-フルオロ-5-メチルフェニルカルバメート誘導体は、1,1′-ビ-2-ナフトールのS体と強く相互作用し、多糖との間で明確なNOE相関ピークが観測された。また、NMRによる滴定実験、緩和時間及びケミカルシフトの変化、コンピュータシミュレーションをもとに多糖誘導体と1,1′-ビ-2-ナフトールとの錯体のモデルを組立て、不斉識別のメカニズムを分子レベルで解明することができた。 3.フェニル基上にトリメチルシリル基を有するセルロースフェニルカルバメート誘導体もまた、クロロホルムなどの極性の低い溶媒に可溶であったので、光学異性体と多糖誘導体とが相互作用している様子をNMRを用いて直接調べることができた。マンデル酸、トレガ-塩基、2級アルコールをはじめ多くのラセミ体をクロロホルム中、不斉識別することができ、この誘導体が新規なキラルシフト試薬としても有効であることがわかった。 4.酸素重合法を用いて得た分子量分布の小さい、水溶性の高分子量アミロースをキャピラリー電気泳動用のキラル添加剤として用い、種々のラセミ体の光学分割を行ったところ、医薬品を含む多くのラセミ体に対して優れた不斉識別能を有することがわかった。
|