研究課題
1.光ピンセット用波長可変レーザー(Ti:SapphireレーザーおよびCr:LiSAFレーザー)の開発高能率、低損傷型光ピンセット用レーザーとして、光LDレーザー励起CW-LiSAFレーザーシステムを製作した。これは2台のLiSAFレーザー発振器からのレーザービームを1つのビームに合成することにより、大捕捉力光ピンセットに必要な高出力化をはかるものである。このシステムの最大の特長は2台のレーザーのビームプロファイルを制御することにより、効率よくTEM11型の中空ビーム出力を取り出せることであり、これによって、大捕捉力をもち、細胞に対する損傷が低い光ピンセット用ビームが得られた。2.細胞内構造の基礎研究従来のNd:YAGEーザーを光ピンセット用レーザービームに用いて、細胞構造の研究を進めた。シダ原始体内の核小体を捕捉する研究では、光ピンセットによって加えられた変位から、核小体につながる染色糸及び核膜の力学的性質を調べることができた。また、新しい測定対象として正常ヒト好中球を用い、その遊走メカニズムを探る目的で、光トラップによる細胞質の粘性及び弾性を定量した。測定部位を仮足進展部、体部、尾部の3種に分け、それぞれの部位による差異の有無を検討した。その結果仮足進展部では体部、尾部に比べて粘性は1/6、弾性は1/20というもので、これは仮足進展部の細胞質はより液体に近いことを示し、細胞内圧により細胞質が押し出されて仮足が形成されることを示唆する。
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