• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

言語規則の研究(後期ウィトゲンシュタイン、クリプキ、チョムスキーを通じて)

研究課題

研究課題/領域番号 08610010
研究機関九州大学

研究代表者

菅 豊彦  九州大学, 文学部, 教授 (50091385)

キーワード規範 / 理由の空間 / 斉合説 / 所与の神話 / 直示的定義 / 還元主義 / 錯覚論法 / ホ-リズム(全体論)
研究概要

本研究は、人間の言語理解を解明するためには言語を前提せざるを得ないかどうかを問題とする。研究代表者は後期ウィトゲンシュタインの直示的定義の考察、デイヴィドソンの言語論を手掛かりに、言語理解を前言語的な所与に還元することは不可能であるということ、すなわち、クワインやダメットのように言語を前言語的な所与に訴えて説明することは不可能であることを明らかにした。
ところで、言語の意味の考察は信念の考察と密接不可分である。ある文の意味を与えるためには、何がその文を正当化するのかを規定しなければならず、逆に文の正当化のためには文の意味が規定されなければならないからである。したがって、信念や文の意味を前言語的なものに還元することは不可能であると主張するデイヴィドソンは「別の信念以外の何ものもある信念を根拠づける理由になりえない」という斉合説を取る。
しかし、このような斉合説を取った場合、われわれの信念がどうして外界の対象についての信念でありうるかという問題が生じてくる。デイヴィドソンの間題点は感性能力を概念能力から切り離したことにある。人間は他の動物と同様に感性的能力をもつが、その上に言語能力を習得によって対象世界が成立すると考えたことにある。デイヴィドソンは概念と感性の二元論を取っている。しかし、われわれは「概念なき直観は盲目である」というカントの指摘が重要であると考える。動物や人間の幼児はこの意味において盲目なのであり、言語の習得を通してわれわれの感性は根本的に変容し、感覚的世界が開かれてくるのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 菅 豊彦: "心を世界に繋ぎとめる" 勁草書房, 218 (1998)

  • [文献書誌] 菅 豊彦(共著): "人間と文化(第4章「言語と思考」担当)" 九州大学出版会(印刷中), (1998)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi