研究課題/領域番号 |
08610014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部・哲学科, 助教授 (20177158)
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研究分担者 |
塩川 千夏 上智大学, 文学部・哲学科, 助手 (10266059)
丹木 博一 上智大学, 文学部・哲学科, 非常勤講師 (30222128)
エレミア オルバーグ 上智大学, 文学部・哲学科, 専任講師 (00266058)
大橋 容一郎 上智大学, 文学部・哲学科, 助教授 (10223926)
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キーワード | 自然神学 / 意味論 / 行為論 / アウグスティヌス / 原罪 / ドイツ観念論 / 聖書解釈 / 言語論 |
研究概要 |
研究計画の第一年目に当たる本年度は予定通り、主として西洋古代・中世から近世にかけての歴史的研究に重点を置いた。 (1)アウグステイヌスを代表とする4世紀のギリシア・ラテン教父に見られる聖書解釈理論の発展史的研究(荻野担当)。ギリシア的自然学から解釈学的意味論的な探究への座標軸の変更が重大な意味を持っている点について、中世哲学会の国際シンポジウム(96年11月)での発表「被造性の意味をめぐって」に一応の結実を見た(来年度の学会誌に掲載予定)。またこれらの問題群については、従来の「内在的なテキスト意味論」のみならず、最近の聖書学の領域で注目されている「物語論的テキスト効用論」の研究成果をも参照すべきであるとの見通しを新たに得た。 (2)ルソーからヘーゲル、シェリングに至るドイツ観念論における原罪の理解の問題(オルバーグ担当)。これは本年度の研究のうちで最も自然神学の核心にふれる課題であるが、欧文の著作Die verlorene Einheitにおいて、啓蒙主義と宗教の対立をめぐる単純な図式を修正し、従来の研究の欠落を埋める成果が発表された。ルソーについてはすでに日本語でも発表され、ヘーゲルについては次年度早々にも日本語で公表される。 (3)カントから前期フィヒテにかけてのドイツ観念論の展開において、従来等閑視され、誤解に晒されていた「言語論」の正確な評価を試み、日本カント協会で発表した(大橋担当)。これによって近世哲学史の見方を是正すると共に、超越論哲学と英米における主流である分析哲学の新たな架橋が可能になりつつあることも重要な成果である。 (4)テクスト・データベースの活用による新たな確実性と包括性を備えた文献研究については、まだ十分まとまった成果を見ず、次年度以降の課題としたい。
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