研究課題/領域番号 |
08610014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部・哲学科, 助教授 (20177158)
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研究分担者 |
柿木 伸之 上智大学, 文学部・哲学科, 助手 (60347614)
塩川 千夏 上智大学, 文学部・哲学科, 非常勤講師 (10266059)
丹木 博一 上智大学, 文学部・哲学科, 非常勤講師 (30222128)
オルバーグ エレミア 上智大学, 文学部・哲学科, 専任講師 (00266058)
大橋 容一郎 上智大学, 文学部・哲学科, 助教授 (10223926)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 自然神学 / 意味論 / 行為論 / アウグスティヌス / 原罪 / ドイツ観念論 / 聖書解釈 / 言語論 |
研究概要 |
死生観をめぐる文化史的思想史的アプローチにより、古代ギリシアにおける宗教儀礼の問題が考察され、こうした原始宗教の層の上にたつ様々な死生観が順次分析されることにより、それが現代の複雑な死生観(臓器移植や尊厳死の構想)の祖型をなすことも明らかになった。同時に「死後の世界」を物語として語るプラトン哲学の論理が究明された。また4世紀に頂点を迎える教父の「創世記」解釈史を辿ることにより、コスモロジーと倫理との関係も従来の哲学史教理史にはない複線的な幅をもって考察されることになった。(荻野)。 近世哲学史の場面では、カントから前期フィヒテにかけての展開にあって、従来等閑視されてきた言語論の正確な評価を試み、現代英米哲学おける行為論との対話を開く新たな展望を得つつある。同時に新カント派のエーミル ラスクの論理学を再評価することで、科学と形而上学の関係についても従来の科学哲学とは異なる視座を提供しようと考えている。(大橋)。またルソーの原罪論を再考し、シェリングの神話的思考の評価やヘーゲルと聖書解釈の関係など、従来日本人研究者によってはふれられなかった問題意識に立って、啓蒙主義と宗教思想の対立をめぐる単純な図式を修正した。ロマン主義と人文主義の関係を正確に見て取ることにより、またチャールス テイラーやルネ ジラールなど現代哲学との対質によって、自然神学刷新という課題の核心にふれる試みが開拓されつつある(オルバーグ)。 今世紀の哲学思想の分野では、ハイデガーにおける「自由」の概念が再考され、また同時期の哲学者ウィトゲンシュタインとの比較を通じて、この問題に関する新たな考察の深まりを期待させるものがある(丹木)。さらにフッサール現象学の基本概念である「エポケー」を軸に「虚構」の概念の分析により、芸術や宗教的表象の現象学を開拓し、さらに「エポケー」概念の歴史的沿革を辿ることにより、古代的懐疑主義の理念から、19世紀オクスフォード運動のニューマンの信仰論、さらにはオカルトなど疑似科学の分析にまで至る展望を開きつつある(塩川)。また近年注目を集めている特異な思想家、ヴァルター ベンヤミンの歴史哲学と芸術をめぐる問題をかなり集中的に追うことができた(柿木)。
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