陸淳の『春秋集伝弁疑』の翻訳を進め、現在全十巻中第九巻まで終了している。そのうち第六巻までを『春秋集伝弁疑訓解(全二冊)上編-巻一至巻六-』として刊行した。残りの四巻も次年度中には刊行できる運びである。これで陸淳の著書のうち『春秋啖趙集伝箕例』全十巻の翻訳と併せて彼の著述の大半を訳し終えたことになる。また、『春秋啖趙集伝箕例』の中の巻八の「姓・氏・名・字・爵・諡例」、及び巻十地名譜中に見える第三者の意見の混入は版本の追跡調査によってはそれが誰かは確認できず、北宋の朱臨の文章(『春秋集伝弁疑』の序文)に『春秋集伝箕例』は既に北宋の初年に完本がなかったことが見えているから、おそらく陸淳の弟子柳宗元あたりの意見が混入している可能性が高くなった(これについては別に証拠があるが今はふれない)。さらに『春秋集伝微旨』の翻訳を準備中。また柳宋元の春秋学との比較も進めている。こうした作業を通じなぜ唐末に春秋学が盛んとなりそしてそれが韓愈・柳宋元らの儒教復興運動、北宋の春秋学の盛行を促し、朱子学の誕生につらなるのかをある程度明確にできることが予想される。
|