平成八年度においては、七年度から継続して中国宗教関係の資料の収集を進めるとともに、その分類整理、及びコンピューターへの打ち込みを主な作業とした。その結果、幾つかの進展とともに、問題点があることが明らかになった。第一に、資料整理においては、まず上帝崇拝・自然神崇拝・祖先崇拝・神話・葬送儀礼など、各項目別(現象別)に分類し、内部を更に時代順に配列させるのが合理的であるという結論に達した。第二に、網羅する対象が膨大ものになるため、限られた時間と人的資源によって中国宗教の全分野をカヴァーすることは事実上不可能に近いということである。そのため上述の各項目のうち、限られた分野についてまず中国宗教資料集の試作品を作成し、その結果によって将来改めて全分野を網羅するような資料集作成の計画を練ることが妥当であろう。第三に中国文献をコンピューター入力する上での最大の障害となるJIS水準に含まれない漢字の問題は、WINDOWSの外字エディタ-とスキャナーを連動させることによって基本的にクリア-できることが明らかになった。この方法を用いることによって楷書文字だけでなく、甲骨文字や金文・簡帛文字までもフォントに自由に置き換えることができるようになった意味は大きい。第四に、しかしながらスキャナーを使用する場合にまだ充分に環境が整備されていないという問題が指摘できる。特に中国語繁体字用OCRソフトの導入は不可欠であることが明らかになった。 平成十年度においては上述の諸点に鑑み、入力環境を整備して中国宗教資料集の試作品を編纂することを目的としたい。
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