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1) 十八世紀フランスにおけるデカルト主義の思想史的研究の総括として、本研究の主題であるデカルト神話を問題にする場合の「デカルト神話」とはいかなるものであるか、またその際に用いられる「神話」という概念は従来の神話概念とどのような差異と類似をもつかを検討した。その際に、ロラン・バルト、ギルバート・ライルらの神話概念が、吟味の対象となった。
2) 十七世紀後半、祖国フランスに迎えられたデカルト思想は、十八世紀には疎んじられた。しかしながら十九世紀にデカルト・ルネサンスともいうべき現象が生じた。それ故に、十八世紀フランスにおいて命脈を保っているはずのデカルト主義とはいかなるものか、いかなる形態のもとでその命脈が保たれたのかという問いが可能であった。本研究はこの十八世紀フランスにおけるデカルト主義の運命を検討するものであった。それは一連の論功でなされたと信じるが、では十九世紀以降のデカルト神話はどのように展開するのかという問いも生じる。こうした問いに概略的な展望を与えた。この問題は引き続き研究されるべき主題である。
3) 本研究の主題はより大きな十七世紀から二十世紀にわたるデカルト主義の思想史的研究という枠組みでなされている。今回は十七世紀におけるデカルト主義の思想史的理解を深めるべく、彼の友人のメルセンヌに関する研究史的検討を行った。こうした研究により、デカルト主義に対する哲学史的理解ではなく、思想史的理解が深化される。
4) 三年間の研究を総括する意味でも、これまでの研究に関する網羅的ビブリオグラフィーを作成した。同様な関心を懐く研究者には、多少の便宜を与えることになれば幸いである。
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