研究概要 |
当該研究課題に関わる筆者の今年度の主な研究成果は以下の通りである。 1.1996年1月にオーストリアの建国一千年を記念してカナダのオタワで開かれた音楽及び音楽学の国際会議Austria,966-1996:Music in a Changing Societyにおいて報告者が行ったアドルノのマーラー論に関する発表(英語)を英語の論文として完成し、1997年度にオーストリーとカナダで出版される予定の書物の原稿として提出した。この本は現在編集及び印刷の段階である。論文の題名は、"On the Paradoxical Expressions in the 'Mahler' of Th.W.Adorno"である。 2.1996年10月にドイツのフライブルク近郊のホルベンで、先頃設立された音楽・美学学会Gesellschaft fur Musik und Astehtikが、アドルノの音楽哲学に関する国際会議を主催した。報告者は非ヨーロッパ人としてはただ一人招待を受け、独語で発表を行い、大変好評を得た。題名は、「音楽と自然-世界化の時代のアドルノ理論」"Musik und Natur.Th,W.Adornos Theorie im Zeitalter der Globalisierung"というもので、(1)アドルノ理論の世界化の時代の現状における意義を考え、(2)音楽と自然に関する彼の理論を再構成し、(3)ヨーロッパの伝統における音楽上の自然支配の問題とその終焉を考え、(4)最後に比較美学的にアドルノ理論を展開する可能性を考えた。この論文はすでに提出し、現在編集の段階である。1997年秋に、ドイツの大出版社ズ-アカンプSuhrkampから出版の予定である。編者からは「発表と同様素晴らしい(glanzend)」との評価を得ている。 アドルノのマーラー論の翻訳は現在大半を終え、1997年度中には法政大学出版局より出版の予定である。
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