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1997 年度 実績報告書

フェルメールのカメラ・オブスク-ラ利用を実証する芸術工学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08610056
研究機関東京工芸大学

研究代表者

中村 光一  東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (80237396)

研究分担者 山本 晃  東京工芸大学, 芸術学部, 講師 (80288109)
内藤 明  東京工芸大学, 芸術学部, 講師 (10288110)
キーワードフェルメール / 17世紀のオランダ絵画 / 風俗画 / カメラ・オブスク-ラ / 光学効果 / 点描画法 / 遠近法 / ヨルゲン・ワドゥム
研究概要

本研究は,平成8年度と9年度の2年間で、17世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメールが制作の補助装置としてカメラ・オブスク-ラを利用していたという仮説を芸術工学的に実証しようとするものであった。しかし、研究開始当初、従来の研究の前提条件を全く変えてしまうような出来事が起こった。それは、フェルメールの現存作品の23点を集めた回顧展がワシントン・ナショナルギャラリーとオランダの王立マウリッツハイス絵画館で開催されたことである。これを機にフェメール研究が再び活発になり、数多くの発表がなされた。代表例が回顧展のカタログに収録された諸論文で、特に、回顧展のためにフェルメール作品の修復にあたったマウリッツハイス絵画館のヨルゲン・ワドゥムが執筆した論文『Vermeer in Perspective』は、修復作業の過程で発見した新事実を含み、本研究の行く末を左右するほど重要なものであった。その発見とは、作品中に確認されたごく小さな絵の具の欠損部分で、ワドゥムはその穴が遠近法の消失点であると推測した。フェルメールはその消失点のところに針を刺し、チョークをまぶした糸の先端を結びつけ、必要な消失線を画面上に転写していく方法で描いたらしい。この論文はフェルメールのカメラ・オブスク-ラ利用説を否定するものとして定説になった。これを受けて、本研究も初期の目的、方法の大幅な変更を強いられ、この論文を詳細に分析することを優先し、それに反論を加えることを主眼とした。その結果、以下の結論に至った。
1)ワドゥムの論文並びに最新のフェルメール関連の研究を詳細に調査した結果、フェルメールとカメラ・オブスク-ラとの連関を否定する資料は一切存在しない事実を確認できた。
2)フェルメールは、カメラ・オブスク-ラのピントグラス上の画像をキャンパス上に最も効率的に転写するのにワドゥムが示唆した作図法を利用していた可能性が最も高い。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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