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1996 年度 実績報告書

紅型の技法と意匠に関する発生学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08610067
研究機関東京国立博物館

研究代表者

長崎 巖  東京国立博物館, 学芸部・工芸課・染織室, 室長 (20155922)

キーワード紅型 / 型染 / 筒描き / 日本 / 琉球 / ノロ / 染め
研究概要

本研究の過程で、数多くの紅型作品を調査し、また写真資料の収集を行ったが、特に筒描き紅型最古の遺品として知られる、久米島で発見された筒染紅型の幕は、乾隆22年(1757)に首里で染められたことがわかっており、資料としては最も貴重なものの一つである。これによって、18世紀の半ば頃には、広義の紅型技術のうち、少なくとも筒糊を使用する技法がこの頃既に完成していたと推論できる。ただし、同様の技法は、遅くとも17世紀初頭には日本において行われており、その技法が琉球に伝えられた可能性もある。またノロの家に伝来した15〜16世紀の作と伝えられる型染裂の断片は、近世以降の紅型に連なる技法的特徴を示すが、これが琉球で染められたものかどうかはにわかには決しがたい。なぜならば、日本より伝わったと思われる辻が花染裂がこの裂とともに同家に伝わっているからである。更に、上杉神社所蔵の16世紀の型染め鎧下着が、この型染め裂と多くの共通性を持っていることは、この裂が日本からもたらされた可能性を示唆する。なお型染め紅型の型紙についても、日本製のものが少なからず伝来していることが明らかとなったこトも、筒描き紅型、型染め紅型ともに、日本からもたらされた筒描きや型染めの技法をもとに考案された可能性が想起させる。
一方、その意匠は日本に起源を持つことは明らかであるにしても、それが辻が花染や友禅染を代表とする室町時代以降の日本の染物の影響を直接受けた確たる形跡は認められない。むしろ比較的限られた幾つかの型を組み合わせて模様のバリエーションを作り出している点は、唐織に代表される近世初期の織物の発想に親近性を感じさせる。琉球に辻が花裂が伝えられていることからして、同時期の唐織等の織物も伝来していた可能性はおおいにあると思われる。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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