研究課題/領域番号 |
08610070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
岩本 隆茂 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (10000605)
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研究分担者 |
久能 弘道 北海道大学, 文学部, 助手 (30271703)
福井 至 北海道女子大学, 生活福祉学部, 助教授 (10208928)
森 伸幸 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (10295917)
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キーワード | 生態学的視点 / 「認知的」課題 / 認知的行動療法 / 時間割引率法 / 認知的ストレス / ストレス対処法 / バイオフィードバック |
研究概要 |
本年度は2年度であり、以下のような本格的研究が遂行され、多くの知見を得た。 1.「動物におけるカテゴリー弁部学習の実験的研究」 ラットとハトを主たる実験動物とし、多次元から構成された多様の感覚刺激系別の弁別学習事態において被験体がそれらの刺激集団からいくつかのカテゴリーを形成させつつ「認知的」課題の提示に対する反応方略の構築過程が分析された。 課題としては、「視覚的課題」と「聴覚的課題」の2種類を用意した。視覚的課題も聴覚的課題も、基本学習の習得はともに速やかであった。新奇刺激が導入され、被験体の反応方略の機構が吟味されるテスト期では、前者の課題における被験体では、課せられた課題に適切なカテゴリーを自発・形成させ、いわゆるカテゴリー弁別学習が観察されたが、後者の課題の場合では、基本学習が十分に形成されていたにもかかわらず、新奇課題が導入された検証テストによればカテゴリーの形成は行われてはいなかったことが明らかとなった。 これらの研究成果は、1997年5月にシカゴで開催された「国際行動分析学会第23回大会」をはじめ、平成9年度の「日本動物心理学会第57回大会」や「北海道心理学会第44回大会」で発表された。またこのテーマのうちで、被験体をラットとした論文は、平成10年の『北海道医療大学看護福祉学部紀要』に投稿され、審査を通過して掲載された。 2.「ヒトにおける時間割引率の認知的研究」 大学生を被験体とし、受け取る金額の時間経過の長短と、金額の割引率について、質問紙法を用いてデータを収集する。時間経過の認知については、これまで多くの方法で 研究が進められているが、われわれの創案した“時間割引率法"による測定は、現実に被験者が申告した金銭を支払うために、きわめて現実的で従って精度も高い。この研究は、目下「日本行動科学会」の審査を通過したので、まもなく機関誌『行動科学』に掲載される。 3.「ヒトの認知的ストレス事態における対処方略と人格特性」 大学生を被験体とし、認知的課題の遂行を付加させながら、脳波、皮膚電気反応(GSR)指先容積脈波、筋電位、心拍数などの生理心理的測度がモニターされ、バイオフィードバックされた。認知的課題の遂行方略と人格特性の関係に、生理心理的測度のバイオ フィードバックの効果が分析された。本研究の結果は平成9年度の「北海道心理学会第44回大会」で発表されたが、その続報は平成10年度の「日本心理学会第62回大会」でも発表申込が受理されている。 4.「行動療法における“認知的"操作の導入」 最近「認知療法」や「認知行動療法」が盛んになってきているが、その内容は多岐にわたっていいる。岩本らはその理論解析を深めることによって、これらは問題行動における“認知的"機能を重視はするが、本質的にはいずれも行動療法のひとつであることを証明した。この研究成果は、岩本らの編著になる『認知行動療法の理論と実際』(培風館、平成9年8月刊行)にまとめられている。
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