研究概要 |
これまでの研究により、シリアンハムスターは短日暴露により精巣を萎縮することが知られている。この短日による精巣の抑制効果は、居住環境、栄養、ストレスなどにより一層加速されることがわかった。 本年度は同居条件として、性の要因を導入し、同性あるいは異性との同居が短日暴露による精巣萎縮を緩和することがあるかどうか、またあるとすればどちらの性が抑制を緩和するかを吟味することを目的とした。 方法:3週齢のオスのシリアンハムスターを5週間、長日(LD16:8)で維持した後、動物を短日(LD8:16)に移し、次の3条件下で10週維持した。(1)単独居住、(2)雌同居、(3)雄同居の群であった。他に統制条件として、長日単独飼育の群を設けた。これらすべての群は餌と水は常に十分与えられていた。 結果:各条件10週暴露後の平均精巣重量は、(1)短日単独居住群、837mg,(2)短日雌同居、1953mg、(3)短日雄同居、2587mg、(4)長日単独居住群、3287mg,となった。これから、同居は短日暴露後の精巣萎縮の程度を緩和させるといえる。しかしながら、雌と雄の性による違いはみられず、むしろ同性である雄との同居が萎縮の程度を緩和する傾向がみられた。 体重についても、同居群は単独群に比べ、成長が速く、かつ体重は重くなった。性の効果については、雄より雌との同居が体重発達を促進した。
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