これまでの私たちの一連の研究から、短日下で餌や水を剥奪すると、同じ割合であっても、規則的な場合よりも剥奪を予測できない時に、体重や精巣発達は大きく抑制されることが明らかにされた。その理由として、剥奪を予測できないとき、これが心理的ストレスとして動物に働き、体重と精巣の発達を阻害すると考えた。 本年度はこれらの成果を踏まえ、2匹の同性との同居が、12週の実験期間の30%の日に、ランダムに水を剥奪することによるストレスを緩和出来るか、の仮説を検討した。 すべてのシリアンハムスターを長日で3週維持した後、短日に移行し、、1)SC群(単独居住で水剥奪なし)、2)SW群(単独居住で、水剥体あり)、3)PC群(2匹同居で、水剥奪なし)、4)PW群(2匹同居で、水剥奪あり)の条件で12週維持した。 結果:12週の体重は、SW群で最も激しく減少し、次いでPW群、PC群で減少が最も少なかった。両精巣の重両の結果をみると、3群間に有意差が認められ、SW群で最小、PC群で最大、PW群がその間であった。 これらの結果から、予測できない水剥奪は動物にストレスに動き、体重と精巣発達を抑制するが、同居はこのストレスを緩和し、体重と精巣発達に促進的に働き、萎縮の程度を和らげると言える。
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