研究課題/領域番号 |
08610084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
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研究分担者 |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40030043)
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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キーワード | 超低出生体重児 / 学齢期 / 学習障害 / 行動分析 / 多弁性 / 多動性 / 注意集中困難 / 判別分析 |
研究概要 |
出生体重1000g未満の超低出生体重児(観察時7歳〜9歳)115名を対象にWISC-R知能検査、Frostig視知覚発達検査、Bender Gestalt検査、人物画知能検査を実施した。また、心理検査場面の行動を8ミリビデオに記録し、VHSにダビング編集したのち、単位時間5秒のOne-zeroサンプリング法により整理し、各行動の生起率を求めた。WISC-Rの結果に基づき、IQ≦70のMentally Retardedが15名、71≦IQ≦79のBorderlineが7名確認され、両者を併せて22名(19.1%)をMentally Delayedグループ(MD)とした。IQ≧80の児童うち、母親ないしは教師による児童評定尺度(PRS)を用いた評価で、学習障害の疑いありと判定された33名(28.7%)をLD-Suspectedグループ(LD)とした。それ以外の発達上問題の見られなかった児童60名(52.2%)をTypically Developingグループ(TD)とした。対照群として超低出生体重児の兄弟姉妹22名についても同様に調べたが、LD1名を除き全員TDであった。行動分析の結果、LDは応答語、自発語の生起率が高く、頷きに音声を伴う割合も高かった。これらはLDの多弁性を示す指標と考えられた。また、回転椅子による回転の生起率も高く、多動性の徴候も認められた。Frostig視知覚発達検査1(目と手の協応)の評価点が低かったが、TDに比して、課題を解くスピードが速く、注意集中困難の徴候が認められた。各行動の生起率を用いた判別分析の結果、LDの分類の正答率は40.9%であったが、男児に限って言えば63.6%とかなり高いことがわかった。行動指標はLD児の分類に有効であることが示されたが、性差の他に年齢差も考慮に入れる必要があり、行動チェックリストの作成には性別・年齢別標準データの蓄積が必要であると考えられた。膨大な量のデータベースの作成、判別分析などの多変量解析に科研費で購入したパソコンと統計ソフトを活用した。
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