研究課題/領域番号 |
08610085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
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研究分担者 |
大芝 宣昭 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (20283715)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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キーワード | ケンカ / 仲直り / サル / 仲間関係 / 優劣順位 / ゴリラ |
研究概要 |
ケンカの後に「仲直り」することは、社会の中で他の個体と共存していくための不可欠な行動である。マカク属のサル類を対象として、それぞれ2種類の飼育環境の中で生活している子ザルが、ケンカの後に、どうのようにして「仲直り行動」を示すのかを発達的に分析し、社会集団の一員として不可欠な社会的スキルの獲得のプロセスを解明することを目的として研究を進めた。本年度は、母ザルから離れて他の集団メンバーとの関わりがさらに加速する生後3年目の個体の仲直り行動の分析を行った。さらに、マカク類よりも高等な類人猿のゴリラの子どもでも仲直り関係についての行動観察を追加し、比較・検討した。 マカク類のサル類では生後3年目になると、母ザルと一緒に過ごす時間は短くなり、年齢の近い同性の個体との関わりが多くなった。特に、オスでこの傾向が著しかった。このように、頻繁に関わる個体の間では優劣順位関係は明瞭であり、それゆえに、攻撃性の高いケンカはほとんど生起しなくなる。しかし、たとえ、攻撃性が低いケンカでもケンカの後の数分以内に、ケンカの当事者が近寄り、毛づくろいやその他の身体接触を伴う行動を示し、仲直りすることが多くなった。より高等なゴリラは小集団で生活しており、おとなは仲直り行動をすることが知られている。しかし、子どもは母や他の集団成員との敵対的な関わりは皆無に近く、仲直り行動が必要な場面に遭遇することが極めて稀であり、子供たちがどの程度仲直り行動を適切に行うのかは明らかでない。
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