研究課題/領域番号 |
08610085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
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研究分担者 |
大芝 宣昭 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (20283715)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
糸魚川 直祐 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (90027962)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60183886)
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キーワード | ケンカ / 仲直り / マカク / ゴリラ / 順位 |
研究概要 |
ケンカの後に「仲直り」することは、社会の中で他の個体と共存していくための不可欠な行動である。順位関係が比較的厳しいマカク属のサル類であるニホンザルとカニクイザルの2種を対象として、ケンカの後にどのようにして「仲直り行動」を示すのかを、おとなの年齢に近づく生後4年目の個体を中心にして資料の収集に努めた。さらに、マカク類よりも高等で、類人猿のゴリラの子どもの仲直り行動についても行動観察を追加した。 野外で生息するニホンザル集団の場合には、生後4年目のオスは生まれた集団から離脱し始める時期でもある。この時期には、年齢の近いオス同士の関わりが多く、母ザルや姉妹、近縁のメスとの関わりは少ない。他方、放飼集団で生活しているオスは集団から離脱できないため、ケンカの後の仲直りなども、野外集団に比べて、頻繁に行い社会的な安定性を維持する行動がより必要と思われるが、これら2グループの間には必ずしも明瞭な差異は見出せなかった。カニクイザルでは成体を含む集団で生活している個体でも、同年齢だけで生活している場合でも、ケンカと仲直りに大きな差異は見られなかった。ニホンザルやカニクイザルはベニガオザルなどの他種のマカク類のサルよりも順位関係が厳しく仲直りが表出し難い種であるため、環境が異なっても種内では大きな差異が出なかったのかもしれない。 ゴリラの子どもが年上の個体とのケンカで泣いても、たいていは母のところに戻り、母を避難場所とし、母も保護行動を行うだけであり、子ども同士の仲直りの生起の有無は明瞭ではなかった。しかし、ケンカ相手となった子どものそれぞれの母同士の関係まで記録すれば、何らかのより高度な仲値りが行われている可能性がうかがえた。
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