研究概要 |
正方形図形2個を左右に併置し、それらの輝度を対数単位の10段階で設定し、10段階のカテゴリー評定法を用いて、明暗知覚における対比効果を測定した。2名の被験者についてのデータを収集したが、更なる検討が必要である。 明暗の錯視現象であるEhrenstein錯視を参考にして、大きさ対比を誘導するEbbinghaus図形の修正図形を考察した。Ebbinghaus修正図形では、大きさ対比に及ぼす構造的要因を検討するために、周辺円を複合2重円として配置した。複合2重円が直線的に配置される場合とそれ以外の場合では錯視量が大きく異なり、構造的要因の大きさ錯視への関与が示唆された。 Delboeufの同心円錯視をマグニチュード推定法および9段階と7段階のカテゴリー評定法を用いて検討した。外円と内円の直径差が少ない場合は全ての測定法に共通して外円は過大視された。また、外円に対する錯視量は全ての測定法において同様の傾向を示したが、内円に対する錯視量は測定法に依存して大きく異なり、反応バイアスが現れた。この研究成果は、日本心理学会61回大会にて発表の予定である。 反復模様の幾何学的対称性と図形の良さ・複雑さ・類似性の認知判断の対応関係を7段階のカテゴリー評定法を用いて検討した。並進の変換を並進鏡映に置き換える操作は認知判断に普遍的な効果を及ぼし、図形を45°傾斜させる操作は図形と認知判断に依存して選択的な効果を及ぼした。この研究成果は、心理学評論,1996,Vol.39,No.3,338-360に掲載された。
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