研究課題/領域番号 |
08610089
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
八木 文雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (60124814)
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研究分担者 |
奥谷 文乃 高知医科大学, 医学部, 助手 (10194490)
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キーワード | 片眼摘出 / ラット / 視覚系 / 可塑性 / 免疫組織化学 / Fos-like immunoreactivity / DiI |
研究概要 |
ラットでは、幼若時に片眼を摘出しておくと、残存眼からそれと同側の視覚中枢に投射する非交叉性情報系(UXVP)に、片眼摘出による入力遮断に対する補償作用としての再編成が出現し、その系の機能が増大する。われわれはこれまでに、その様態を行動的側面と電気生理学的側面から分析した結果、幼若時に片眼を摘出したラット(OEB)では、成長後に片眼を摘出したラット(OET)には存在しない、視床後外側核から大脳皮質17野への新たな投射線維が形成されること、およびUXVPにおけるこうした可塑的変化による再編成が、白黒およびパターン弁別学習を促進させるという形で、行動面にも反映されることを明らかにした。 以上の事実にもとづき、昨年度の研究において、幼若時の片眼摘出によりOEBのUXVPに出現する機能的増大の神経機構を、Fos-like Immunoreactivity(FLI)を指標として免疫組織化学的に解析した結果、残存眼と同側の上丘のsuperficial gray layerでは、OEBにおいてそのほぼ全領域にFLIニューロンが認められるのに対して、OETでは僅かなFLIニューロンしか認められないことが判明した。 そこで本年度は、昨年度と同様の免疫組織化学的手法により、OEBの残存眼と同側の大脳皮質視覚野について解析するとともに、anterograde axon tracerとしてDiIを網膜の限局する部位に注入することにより、網膜に起始する軸索の投射パターンを、OEBの上丘および大脳皮質視覚野において検索した。その結果、OEBの視覚野では、17野を中心とするOETに較べてかなり広範な皮質領域にFLIニューロンが検出された。また、OETのUXVPには僅かにしか認められないDiI標識軸索が、OEBの上丘および視覚野の広範な領域に認められた。以上のような形で、OEBのUXVPに出現する機能的増大の神経機構を形態的側面から解析した。今後、これを支配する分子機構についての検討を要する。
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