不確実な結果をもたらす複数の選択肢よりなる選択を2組用い、その選択組間での選択を行うことを「メタ選択」と呼ぶことにする。その際、各選択組間及びこれらを構成する各選択肢間は、理論的には選好が無差別となるような組み合わせとなっている。本研究では、複数の選択肢から選択が可能な自由事態と単一の選択肢しか選択できない強制事態との2組を用意し、選択組間のメタ選択を見た。デンショバト4羽はキ-つつき行動を形成後、並立強化スケジュールで選択行動を獲得、その後以下の3条件よりなる実験にさらされた。条件1では、並立連鎖強化スケジュールの初環において、ある一方のキ-をつつくことにより終環の2つの選択肢が現れる自由事態と、もう一方のキ-をつつくことにより1つの選択肢しか現れない強制事態間での選択行動を見る。初環はVI30秒、終環はFI20秒であり、いずれの選択肢においても3秒間麻の実が提示される。選択安定後、左右のキ-の随伴性を2回入れ替えて選好の確認を行った。条件2では、すべての選択肢の終環に4秒の強化遅延をつけ加えた。条件3では、条件1に戻して自由事態での1つの選択肢を消去スケジュールとした。4羽は強制事態の弁別刺激が自由事態の一方の弁別刺激と等しい群1、選択肢の弁別刺激がすべて異なる群2に2羽ずつ分けられた。結果は、先行研究と異なり、個体によって様々な選好が得られた。条件1では、群1は右キ-への位置偏好、群2では1羽ずつ左右への位置偏好が見られた。条件2では、群1は右キ-への位置偏好、群2ではわずかな強制事態への選好が見られた。条件3では、群1は無差別、群2の1羽は無差別、もう1羽は引き続いて強制事態への選好が見られた。本実験では不確実性を強化遅延で作り出したが、条件2の群2で強制事態への選好が見られたことで、今後、強化提示の確率を積極的に操作することで選好の変化を検討することが望まれる。
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