理論的には選好が無差別な複数の選択肢より成る2つ以上の選択場面間での選択を、「メタ」選択(選択場面間の選択)と呼ぶ。(研究1)昨年に引き続きデンショバトを用い、上段4つ(赤か緑で点灯)下段2つ(白)のキイのある実験箱で、選択肢が1つしかない強制選択場面と複数ある自由選択場面(以下[強制]と[自由])の間のメタ選択に与える強化確率の効果を検討した。並立連鎖スケジュールの初環で下段のキイのどちらかを選択(メタ選択)し、引き続いて終環で上段の内左右どちらか2つが[自由]、残り2つの内1つが[強制]に割り当てられている各場面内での選択を行う。被験体ごとに異なる実験条件を経験し、選択の傾向は以下のようになった。すべての選択肢の強化確率が1の時、[自由]への選好がわずかに見られた。緑キ-の強化確率1で赤キ-が強化確率0.5の時、[強制]で選択肢の提示方法により選好の変化が見られ、不確実な選択結果への嫌悪が示唆された。一方、すべての選択肢の強化確率が1でない時には明確な選好は見られず反応率の全体的な減少があった。(研究2)選好の新しい測度を検討するために、選択肢間の選考を並立連鎖スケジュールの初環の選択反応比ではなく変化抵抗によって見た。実験1では終環に強化率の等しいVI、FIスケジュールを設定した並立連鎖スケジュールを用いて、同時選択場面での変化抵抗と選択比を見たところ、VI選択肢に対する過度の選択比とわずかに強い変化抵抗が確認されたが、選択比と変化抵抗の傾向は一致しなかった。実験2では、初環の選択比が等しくなるよう終環のFI値を操作したところ、ほぼ等しい変化抵抗が得られた。実験3では多元連鎖スケジュールを用いた継時選択場面での変化抵抗と選択比を検証した。実験1と同じく終環に強化率の等しいVI、FIを設定したところ、VI選択肢に対する高い選択比と強い変化抵抗が確認された。
|