複数選択肢よりなる選択場面を2つ以上用意し、その間での選択を行うことを「メタ」選択(選択場面間の選択)と呼ぶ。研究1では、上段4つ(赤か緑で点灯)下段2つ(白)のキイのある実験箱で、選択肢が1つしかない強制選択場面と複数ある自由選択場面(以下[強制]と[自由])間のメタ選択を見た。並立連鎖スケジュールの初環で下段のキイのどちらかを選択(メタ選択)することで、引き続いて終環で上段の内左右どちらか2つが[自由]、残り2つの内1つが[強制]に割り当てられている、どちらか一方の場面内での選択となる(初期条件)。96年度においては4羽のデンショバトを用い、すべての選択肢の終環に4秒の強化遅延を与える条件1と、[自由]での1つの選択肢を消去スケジュールにする条件2の効果を検討した。初期条件では[自由]、条件2では[強制]を選ぶことが予想されたが、結果は先行研究と異なり、個体によって様々な選好が得られた。 今までなされたことがない条件1についても、選好には個体差があった。そこで97年度において手続きをより洗練し、強化遅延の代わりに強化確率を導入して7羽のデンショバトで、その効果を検討した。その結果、すべての選択肢の強化確率が1の時、[自由]への選好がわずかに見られた。緑キ-の強化確率1で赤キ-が強化確率0.5の時、[強制]での選択肢の提示方法により選好の変化が見られ、不確実な選択結果への嫌悪が示唆された。 一方、すべての選択肢の強化確率が1でない時には明確な選考は見られず、反応率の全体的な減少があった。研究2では選好の新しい測度を検討するために、選択肢間の選好を選択反応比だけではなく変化抵抗からも吟味した。 強化率の等しいVI、FIスケジュールを成分に持つ、並立連鎖スケジュールと多元連鎖スケジュールとを比較すると、後者でのみVI選択肢に対する高い選択反応比と強い変化抵抗の一致関係が確認された。
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