研究概要 |
次のページの11.研究発表で記載した研究論文に加えて、日本教育心理学会第40回総会(1998年7月)において、昨年度と連続して2つの発表を行った(「若年小学校教師の教育実践に関する意識と職場適応(その1,その2)」)。これらの発表は、北海道内の小学校に勤務している経験年数が4年以内の教師を対象にして質問紙による調査を行った結果に関するものである。そこで若い教師たちの職場での適応状況、社会的な支援の利用可能性、教職についての知識や技能の習得の方法、教職についての態度などを調べた。今年度では、これらのデータに加えて1998年4月から札幌市内の小学校と中学校に勤務し始めた新任教師全員を対象にして、昨年度の調査をベースにし、それに若干項目を追加した質問紙調査を実施し、80%を越える回収率でデータを得ることができた。結果の詳細は様式12の研究成果報告書で述べたとおりであるが、いくつかの点で小学校と中学校の教師の間で興味深い違いが見られた。研究当初は中学校の新任教師の方がストレスを強く感じているのではないかと予想したが、結果は予想に反してむしろ小学校の新任教師の方がストレスと受けていると感じていた。特に授業関係のストレスにおいてこうした違いが目立っていた。これは中学校では教科担任となるため、中学校教師はすべての教科を教えなければならない小学校の教師よりも教材研究に要する時間が少なく、限られた分野について集中して研究することができやすいためであると解釈された。また、校務分掌においても中学校では難しい生徒指導の問題が多く発生する一方で、新任教師は難しい仕事からはずされることが多いことも彼らのストレス軽減に役立っているようであった。
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