研究概要 |
集団のアイディア生成をいかに有効になしうるかをテーマに,当初の一連の研究計画に基づき,以下の実験を行った。 実験1:computer brain storming群(ネット集団),通常のbrain storming群(現実集団),個人によるアイデア創出群(個人群)の3群が設けられた。被験者は,各群とも大学生4名の6グループであった。各群とも2つの課題について,それぞれ15分程度内で,できるだけ多くアイデアを出すように教示された。実験後,各集団は,質問紙によって,満足度や課題の難易度や動機づけなどについて回答した。後日,二人の評価者が実験で出されたアイディアの量と質について評価した。その結果,アイデアの質量とも,個人群が最もよく,次いでネット集団,そして現実集団の順であった。しかし,認知的側面においては,ネット集団が最も満足と興味を感じていた。 実験2:computer brain stormingにおいて,どのような情報提示(feedback)が有効か検討した。ここでは,他者のアイデアを利用した新たなアイデアを生成するという「結合改善」ルールに着目した。一定量のアイデアが創出されるたびに,それらを結合して,新しいアイデアを出すようにdisplay上で指示される「指示集団」と何の指示も与えられない「通常集団」に分かれてcomputer brain stormingを行った。各集団の被験者は大学生3名の5グループであった。各集団とも3回同じメンバーが実験に参加した。従属変数は,実験1に準ずるものであった。その結果,アイデア数,実現可能性,good idea得点は,通常集団が指示集団よりも優れていることがわかった。通常集団のほうがリラックスして課題に取り組めると感じていた。つまり,結合改善の指示が自由なアイデア生成に対して制約的な役割を果たしていた。しかし,そうしたbrain stormingを繰り返すと,両集団の差が減少していくこともわかった。
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