研究概要 |
本研究では,コンピュータ・ネットワーク上の情報交換を介した「アイデア生成」「集団の意思決定」「対人親密化過程」などをテーマに,7つの実験を行い,その成果は4章からなる報告書にまとめられた.まず,第1章「コンピュータネットワーク上におけるアイデア生成」(実験1,2,3)では,集団のアイデア生成(computer-mediated brainstorming)をテーマに3つの実験を行い,アイデア生成を促進させる要因の検討がなされた.次に,第2章「コンピュータネットワーク上における意思決定」(実験4)では,<集団正極化効果>をテーマに,コンピュータ・ネットワークを介した集団の意思決定の特徴を実験的に分析した.第3章「コンピュータネットワーク上における対人認知と感情の交流」(実験5)では,ネットワークを介した親密化過程(acquaintance process)を扱い,感情を含めた情報交流が,この人工的なネットワークを介した二者関係においてどの様な姿を見せ,相互の自己開示がどのようになされてゆくのかについて分析された.最後に,第4章「コンピュータネットワーク上における対人戦略と認知「(実験6,7)では,<囚人のディレンマ・ゲーム(Prisoner's Dilemma Game)>を用いて,有効な対人戦略が検討された.すなわち,コンピュータネットワークを介して繋がる未知の他者との間に,どのようにして協調的関係を形成するか.そのための対人的戦略が分析された.
|