1. 本年度(4月〜3月)、本研究代表者が直接子どもとかかわって、自閉性障害(自閉症を指す)児7名9回、学習障害児4名5回、注意欠陥/多動性障害児1名1回、ダウン症児2名2回、知的障害児2名2回、ことばの問題2名5回、発達障害が疑われた児11名11回、計29名の発達相談を35回行った。すべて8mmで撮影、VHSにコピーし、かかわり方のモデルとして親に発送した。因子分析等データ化については、4画面・2画面追跡録画解析装置で録画した。 2. 「おとなの自閉性障害児へのかかわり方に関する臨床分析的研究」として、1)自閉性障害児との相互作用成立が高水準を示したおとなの行動傾向について、データと考察の再検討を行い、2)特定した自閉性障害児とかかわる異なったおとな間の行動傾向の比較について因子分結果を再考察した。3)自閉性障害児がかかわるおとなとの「二者間の行動文脈」を読み取る能力を発揮することを確認し、4)自閉性障害の傾向を示す5児の発達段階と視線の広がりについて検討した。5)かかわる者への面識経験が自閉性障害児のコミュニケーション活動に与える栄養について検証し、6)自閉性障害の傾向を有する幼児のコミュニケーション能力に及ぼす集団と保育者の介入の役割について検討し、7)以上をまとめた。 3. 「自閉性障害を共に有する二卵性双生児の人とのかかわりと行動特徴に関する臨床分析的研究」を、1)認知発達と自閉性障害の傾向の交錯に視点をあてた検討をまとめ、2)両児の1歳7ヶ月から4歳6ヶ月に至る自閉性障害の特徴とかかわのの変化に関して検討し、3)自閉症障害と発達傾向に関する-因子分析による-両児の比較研究を行った。4)3年間における両児の「個性」の発達的変容をふまえ、両児に見られた障害の顕在化と「人」としての成長過程を考察した。 4. 「発達と障害に視点をあてた発達・教育相談の実際-自閉性障害に視点をあてて」と題し、本研究で作成した「かかわり方のモデル画像」を使用しつつ、学会で教育講演を行った。なお、成果は中国における講演でも伝えられた。
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