本研究の目的は、発達障害児に焦点をあてた神経心理学的検査を作成することにある。本年度は、健常児における各検査の標準値について検討することが目的である。本研究で実施した神経心理学的検査(課題)の種類は次の通りである。1.覚醒・注意に関する課題[(1)持続的注意(ヴィジランス)課題、(2)受容性の選択的注意課題、(3)表出性の選択的注意課題]、2.同時処理と継次処理に関する課題[(1)同時処理課題(1)空間関係(図形模写、記憶による図形の再生)(2)言語関係(ト-クンテスト)(3)類推(レ-ヴン検査)、(2)継次処理課題(1)記憶スパン(数唱、単語の系列再生、K-ABC検査の単語の系列)(2)より高次な継次処理課題(順序発見=視覚性短期記憶課題)]、3.プランニングに関する課題[(1)ウィスコンシンカード分類テスト、(2)漫画の説明]。これらの三種類の検査を、4歳〜11歳の健常児のべ577名に実施した。その内訳は次の通りである。1.覚醒・注意に関する課題では受容性の選択的注意課題:11名、表出性の選択的注意課題:11名であった。2.同時処理と継次処理に関する課題では、(1)同時処理課題については、図形模写:62名、記憶による図形の再生:61名、ト-クンテスト:67名、レ-ヴン検査:77名であり、継次処理課題については、数唱:47名、単語の系列再生:44名、K-ABC検査の単語の系列:46名、視覚性短期記憶課題:38名であった。3.プランニングに関する課題では、ウィスコンシンカード分類テスト:64名、漫画の説明:49名であった。実施した人数は、年齢による偏りがあり、6〜8歳は大体10〜20名程度の人数を得ることができたが、それ以外の年齢については人数が少なく、今後さらに実施を検討している。
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