本研究では、発達障害児に焦点をあてた神経心理学的検査を作成し、それを健常児並びに発達障害児に実施し、検査の有効性を検討することを目的とした。その研究成果をまとめた報告書は全部で8章より成る。第1章では研究の目的と意義及び理論的背景が論じられている。第2章では神経心理学的検査の構成が述べられている。検査の構成は次の通りである。(1)覚醒・注意に関する課題[1)受容性の選択的注意課題、2)表出性の選択的注意課題]、(2)同時処理と継次処理に関する課題[1)同時処理課題(1)空間関係の課題(図形模写、記憶による図形の再生)(2)言語関係の課題(トークンテスト)(3)類推の課題(レーヴン検査)、2)継次処理課題(1)記憶スパンの課題(数唱、単語の系列再生、K-ABC検査の単語の系列)(2)より高次な継次処理課題(順序発見=視覚性短期記憶課題)]、(3)プランニングに関する課題[1)ウィスコンシンカード分類テスト、2)漫画の説明]。第3章では4歳〜14歳までの健常児について各検査の発達的検討が行われ、各年齢群毎の正常基準値が求められた。第4章では自閉症児6名に対して神経心理学的検査が実施され、同年齢の健常児との比較検討が行われ、各児の神経心理学的特徴が抽出された。第5章では学習障害が疑われる児童6名に対して神経心理学的検査が実施され、各児の神経心理学的特徴が抽出された。第6章では知的障害児3名に対して神経心理学的検査が実施され、各児の神経心理学的特徴が抽出された。第7章ではその他の発達障害児4名(アスペルガー、ランド-クレフナー、ウィリアムズ、注意欠陥多動の各症候群児)に対して神経心理学的検査が実施され各児の神経心理学的特徴が抽出された。第8章では前頭葉損傷者3名に対して神経心理学的検査が実施され、前頭葉損傷に共通の特徴が抽出された。
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