研究課題/領域番号 |
08610111
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
井上 孝代 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (30242225)
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研究分担者 |
鈴木 康明 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (40242226)
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キーワード | 留学生 / 相談 / 中途退学 / カウンセリング / 臨床心理学 / 援助 / 大学 / 精神衛生 |
研究概要 |
研究実績の概要 本研究の目的は、留学生の退学や学校不適応の実態を質問紙調査と面接調査および事例研究によって明らかにし、留学生の不本意な退学を予防する方策を研究することにあった。まず留学生の中途退学と相談活動について、退学の危機をのりこえた留学生の在日5年間の追跡調査をおこない、事例研究的に実態を明らかにした。留学生の不本意な退学を防ぐためにはカウンセラ-などの専門的援助者の役割が重要であるとともに、指導教員などの非専門的な援助者の役割もあきらかになった。次に、全国の高等教育機関の留学生相談の実態調査をおこない、留学生センターや学生相談室で留学生の相談がどのようにおこなわれているかを質問紙法により調査した。留学生の相談機関は留学生数の増加にともない量的に増大していることが確認された。しかし、サービスの内容や援助機関や体制の整備について改善すべき点が多くあることが指摘された。さらに、全国の高等教育機関の留学生事務担当部局に留学生の退学の実態を調査し、人数を把握するとともに、それぞれのケースについての分析を行った。国費留学生よりも私費留学生の退学率が高いことが明らかになった。また日本の学位制度の不備による大学院からの中退の問題が指摘された。本研究より、留学生の不適応の基本的な資料が不足していること、臨床心理学的援助の必要性があるにもかかわらず体制の整備がととのっていない機関が少なくないことが示された。また、そのような整備と並行して、留学生の心理学的な解明が必要である。中国系や韓国系留学生のアイデンティ、留学生の非合理的信念、留学生のメンタルヘルス、担当者の心理教育、留学生の文化受容態度の問題を論じた論文を紹介した。今後の留学生の不本意な退学を予防するための心理学的研究の発展を展望した。
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