研究概要 |
1.会話理解における超分節的要素の機能的役割りの分析 発達遅滞児の自由遊びによる言語指導セッションでのセラピストと対象児の会話音調の変化とポ-ズの長さと位置,及び随伴するジェスチャを収録,意味的機能との関係について仮説的分類を行っている。まだ意味的機能との関連を示す的確な分類原理が発見できていないが,その可能性は見出している。語用論的分析と意味構造との関連分析から分類原理の検討を続ける。 2.発話における音声言語と手指言語の同期関係の分析 聴覚障害者と健聴者の会話場面の録画資料の分析から,音声と手指の同期関係を分析し,語彙レベルでの対応関係よりも意味レベルでの対応関係ができている話者の場合音声の韻律の変化が少なく,被読唇率が上昇する傾向が示された。 3.音声情報と非音声情報の変化と会話文の理解度の分析 音響フィルターにより音声情報の明瞭度を段階的に変化させた会話文による読唇テストを作成,読唇テストの誤答分析からテストの採点基準の作成と訓練効果の評価のためのパラレルリストの編集を行った。またポ-ズの位置と種類が読唇に及ぼす効果を分析,分節毎の1秒以内のポ-ズが読唇に有効に働くことが確かめられた。また聴覚障害児の発話明瞭度に関して教師と学生との相違を分析,教師による明瞭度がかなり高いことを示した。
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