仲間関係スキルの訓練プログラムを作成するための基礎資料を得るために、4つの小学校10学級320人(男子171人、女子151人)を対象にして、(1)ソシオメトリック・テスト、(2)仲間関係スキルの他者認知(ゲス・フウ・テスト方式による)13項目、(3)仲間関係スキルの自己認知(4段階評定尺度)12項目、(4)仲間関係の自己効力テスト(4段階評定尺度)7項目、(5)仲間関係ストレス・テスト16項目、を実施した。これらのテスト間の関連を明らかにすることで、どのような子どもが仲間関係において問題をもつと考えられるかについて検討していく。これらの結果について最終的な整理はまだできていないが、これまでの分析の結果では、学級の仲間から孤立している子ども、仲間から仲間関係スキルが低いとみられている子ども、仲間関係ストレスにおいて、とくに「仲間からの直接的な被攻撃」や「仲間からの孤立感や孤独感」において高い結果を示している子どもなど、問題をもつとみられる子どもの存在が明らかになっている。また、個々のテストによるよりは、実施したいくつかのテスト結果の関連をみることで、子どもたちの仲間関係にもつ問題がさらに明らかになっている。 本研究の目的は、このような子どもに対して、仲間関係スキルの訓練プログラムを作成することであるが、このことについては、以上のような結果にもとづいて、仲間関係についての自己効力に焦点をあてたモデルを作成して、実際の操作を入れて仲間関係の自己効力を高め、仲間関係スキルを高めることができるかどうかを、新年度から複数の学級で縦断的に検討していく予定である。
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