研究概要 |
子どものコミュニケーション能力の発達水準を言語と身振りの2側面から評価する乳幼児言語発達検査(米国で開発されたMacArthur Communicative Development Inventories)を日本語の特殊性と獲得状況を加味して完成させた。「ことばと身ぶり」版の「行為とみぶり」、「理解のはじまり」「ことばの理解」「ことばのはなしはじめ」「ことばと文」版の「ことばの使い方」「3つの最長発話」は小椋・山下・村瀬(1991)とほぼ同じであるが,語彙チェックリストは一部改訂し,文法の部を新たに作成した。語彙チェックリストは、米国版を翻訳した語彙で小椋ら(1991)にある語で、30-31ヶ月児で出現率50%以下のことば、18ヶ月児で「みたり聞いたりしたことがない語」は削除した。削除した語は同じジャンルの日本の子どもがよくつかう語を森田(1991)、二宮(1985)、小椋(1997)から補充した。動作語は前田・前田(1996)の高頻度語を追加した。また、日本語の特徴である「ねぇ」などの会話語のジャンルを設けた。文法の部は、助詞、助動詞のくっつき(所有「の」、状態をあらわす「ている」、否定「ない」、丁寧「です・ます」)、語形(動作の分化「ある」「いる」「おる」、さ行変格活用「〜する」「〜した」、自動詞・他動詞、やり・もらい動詞)、助詞、助動詞のくっつきの誤用(例:赤いの花)、数の表現(個、匹など)と複雑な表現(これ好き・これが好き等)の項目で構成されている。松江市、春日井市の保育園児のデータ(「ことばと身ぶり」350名、「ことばと文」900名)を収集した。
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