研究課題/領域番号 |
08610129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
夏野 良司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10198369)
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研究分担者 |
天根 哲治 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70127603)
古川 雅文 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (80153518)
浅川 潔司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00136029)
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キーワード | ストレス / 心的外傷後ストレス反応 / PTSD / 震災 / 兵庫県南部大地震 / PISR / DSM-IV |
研究概要 |
兵庫県南部大震災被災地の小学校・中学校56校の児童・生徒(小3、小5、中2)及び比較群(奈良、岡山、鳥取)の同学年の児童・生徒を対象として震災4ヶ月、6ヶ月、1年後、2年後に震災によるストレス反応を調べる質問紙調査を実施した。3回目までの結果の概要は以下の通りである。 1.データの因子分析から震災後のストレス反応には、3つの因子の存在が示された。すなわち、不安反応、抑鬱・身体反応、援助志向性・罪責感である。 2.被災地を人的・物的被害の程度から、3地域(重度、中程度、軽度)に分類し、被害の程度による地域差、学年差、性差の分析をおこない、次のことが明らかになった。(1)不安反応は、男子より女子の方高い。年齢が低い子どもの方が不安反応を強く示した。(2)抑鬱・身体反応は、男子より女子の方が高い。年齢が低い子どもが高い。さらに、被害の大きかった地域において抑鬱・身体反応は有意に高かった。 3.DSM-IVの心的傷後ストレス障害の診断基準に準拠して、再体験反応、回避・鈍麻反応、過覚醒反応の発生状況を分析したところ、以下の結果がみられた。(1)再体験反応は、調査時期を追い低下しているが、被害の大きいほど、また年齢が低いほど出現率が高かった。特に年齢要因では、調査時期を追って学年差が広がり、小学校3年生の子どもでは出現率がほとんど下がっていない。(2)回避・鈍磨反応では、低学齢ほど出現率が高く時期の経過による影響は受けない。(3)過覚醒反応は被害程度の大きいほど出現率が高い。低年齢ほど高い。また女子の方が高い。 4.本質問紙調査にみる、被災地における心的外傷後ストレス反応は、震災後31.67%、6ヶ月後26.21%、1年後23.87%であり、相当多くの子ども達において震災による心身への影響が残存していることがうかがえる。
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