本年度の研究においては、大学生を対象に、タイプA性格ならびに敵意性格と抑うつ反応との関係、そしてこれらの性格と抑うつ反応に介在するソーシャルサポートの効果について、調査研究を実施した。 研究の対象となった大学生は、全678名(男性425名、女性253名)で、タイプAならびに敵意性格はKG式日常生活質問紙を、抑うつ反応は日本版BDIを、そしてソーシャルサポートは、久田らのソーシャルサポート質問紙を用いた。いずれの検査も日本成人用に標準化が完了している検査であった。このサポート質問紙では、知覚(期待)サポートが測定され、全体のサポート得点の他に、父親、母親、きょうだい、友人そして先生をサポート源とする5つの下位サポート得点が算出された。 その結果、全体のタイプA特性ではなく、その構成要素である敵意性格と抑うつとが正に関連し、敵意性格が抑うつをもたらしやすい可能性が示唆された。そして、サポートは、タイプA得点や敵意得点の高低とはかかわりなく、抑うつ得点と負に関連していた。つまり、サポートが高いと抑うつ反応が低い結果が示唆された。この研究においては、因果関係を明らかにすることはできないが、抑うつとの関連で、敵意性格の健康阻害特徴とサポートの健康促進特徴が今後注目される。また、本研究においては性とサポートの交互作用が見られたり、サポート源の違いによる結果の差異も確認され、今後、さらにサポートの測定の多面性を高めた研究が期待され、加えて抑うつ反応以外のストレス反応を測定する興味も生まれる。
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