本年度(平成9年度)は、引っ込み思案の幼児(2名)対する社会的スキル訓練の実施と訓練後およそ1年間の経過後のフォローアップアセスメントが実施された。 1.社会的スキル訓練 これらの幼児は、それぞれにクラスメート2名ないし3名と一緒に参加する訓練室でのコーチングセッションと自然な保育場面においてトレーナーの援助のもとで実施される訓練セッションの両方に参加した。引っ込み思案の対象者には、社会的働きかけ方、やり取りの仕方などを標的スキルとした訓練が行なわれた。これらの対象児に実施された社会的スキル訓練は、13および15セッションからなるコーチング法に基づいており、教示、問題場面の掲示、モデリング、行動リハ-サル、修正フィードバック、社会的強化から構成された。その結果、引っ込み思案の幼児に顕著であった社会的孤立行動は、訓練終了後に劇的に減少し、合わせて、訓練後には協調的行動の顕著な増加が認められた。 2.長期維持効果(一年後の追跡調査) 平成8年度および平成9年度に社会的スキル訓練を受けた4名の引っ込み思案幼児に認められたスキル訓練の効果が、長期的に維持されているかどうかを縦断的に査定するために、訓練後1年後にこの4名の被験者のフォローアップデータを収集した。主な結果は次の通りであった。 (1)訓練を受けた4名の引っ込み思案幼児のうち3名は、一年後にも訓練効果を維持していた。 (2)維持効果が認められなかった1名の幼児に社会的スキル再訓練を試みたところ、3か月後のフォローアップアセスメント時点で、訓練効果が維持されていることが分かった。 (3)引っ込み思案幼児に表れたポジティブな行動変容は、担任教師によっても知覚された。
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