研究概要 |
基盤研究の二年目であった本年度は,三つの目的を持って研究を実施してきた。 まず先行研究の文献収集を行い,それらを批判・吟味した上で,これまでほとんどなされてこなかった学校組織研究の社会心理学的アプローチの意義と有用性について発表し(昨年の日本教育心理学会と九州心理学会のシンポジウムで話題提供者として発表),さらにはいくつかの論文((1)渕上克義,学校改善心理学の展開 教育心理学年報 39.(2)渕上克義,学校改善の社会心理学 広島大学学校教育学部いじめ防止教育実践研究紀要 2.(3)渕上克義,教師の適性「教育心理学」京都:北大路書房.)にまとめた。 第二にこれらの理論的研究と共に,(1)昨年度実施した,ある小学校での学校改善過程にける校長と教師のコミュニケーション内容の研究結果を,(渕上克義,学校改善プロセスにおける校長と教師の相互用分析 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 7.)にまとめた。(2)そして昨年度実施した組織改善を規定する集団内派閥とリーダー行動の効果について基礎的な実験を行いそれらの成果を,(渕上克義,集団間の目標葛藤が成員の相互作用に及ぼす影響 鹿児島大学教育学部紀要 49.)にまとめた。 第三に学校改善を進めていくために,学校の有効性な活動と教師同士の協同関係に及ぼす校長のリーダーシップの効果について,教師を対称に調査研究を実施した。さらに非生産的な意見の対立を創造的な意見の対立へと変えるための実験的研究を行った。 最終年度は,先述した本年度の研究成果を分析して,第40回日本教育心理学会と第46回日本グループダイナミックス学会において発表し,さらに論文としてまとめる予定である。 そして最終的に,これまで3年間にわたって実施してきた研究の成果を「学校改善の社会心理学的研究」として体系的にまとめる予定である。
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