まず、素朴なアプローチのために多くの比較文化研究が批判されて来たので、比較文化心理学における素朴な経験主義を避ける方法論的方策が検討された。方法論の検討を行なった後、韓国と日本と大学生の間で比較研究をする計画が立てられたが、比較文化的視点からの韓国人の情報が十分になかったので、韓国からの研究協力や信頼できるデータの収集の可能性を検討する必要があった。単純な動物恐怖調査を行ない、その可能性はきわめてよいことが示唆された。たとえば、嫌悪に関係のある動物は、日本の学生のほうが韓国の学生よりも恐れられることが示された。2つの文化の比較だけでは研究結果の一般化は困難である。このことが理由で、動物恐怖に関する日韓比較を拡張して西欧とアジアの計7ケ国で、動物恐怖の研究をし、嫌悪感をもたらす動物は7文化で似ていることが明らかにされた。日韓で子育ての比較するまえに、子育て行動を測定する道具(EMBU)が異文化間で使用できるかどうかがの検討され、共通に使用可能であることが確認された。その道具を用いて、子育てに関して日韓間で見出された顕著な差は、韓国の大学生では、自尊感情が両親の支援と有意に相関関係を示したが、日本の大学生では、そのような関係が見出されなかったこである。これらの研究結果は比較文化的研究の観点から論じられた。
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