大都市の代表的住宅様式である大規模集合住宅の居住特性として、まず第1に「高密度居住」があげられる。本研究では、高密度集合住宅に生活する人々が、日常の生活空間のなかで経験する近隣関係に対する心理的・社会的ストレスに着目し、このストレス量を測定するための心理・社会的尺度(仮称:近隣ストレス尺度)の構成をすることを主たる目的としている。研究初年度にあたる本年度においては、以下の研究を行った: 1.近隣関係に係わる心理的、社会的ストレスに関する文献リサーチを行い、近隣ストレス尺度構成の暫定尺度に必要とされる項目内容の検討を行った。 2.都内大規模集合住宅団地(面開発団地)と地方都市の2集合住宅団地(面開発および単独開発団地)に生活する専業主婦(N=72)を対象に、グループ面接法による調査を行い、住民が日常生活で経験する近隣関係上のストレサ-の具体的内容の把握を試みた。 3.1.〜2.で得られた資料の内容分析を通して、予備調査用の暫定的ストレス尺度を構成する心理・社会的ストレス50項目が選出された。 4.次年度において、さらにストレスの項目内容の検討を重ね、都内大規模集合住宅団地を対象に、暫定尺度を使用した予備調査を実施して尺度をリファインし、本調査を行う予定でいる。
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