からだ全体、姿勢、身体各部位のイメージ、身体接触は人間のあり方の基底を作っていると考えられることから、前年度は姿勢、身体接触、からだの各部位に対する自己評価にどのような特徴が見られるかについて調べた。 本年度は、前年度の身体接触による意識(主として気分や意識性)に及ぼす効果についての結果を受けて、各種の状況における身体接触の部位の分布、接触の仕方について調査を実施した。たとえば、緊張を鎮めようとする状況、悲しみに耐えようとする状況、怒りを抑えようとする状況、楽しさを実感する状況、絶望感を解消しようとする状況など19場面での身体接触の様子を調べた。また、自分の身体イメージ、身体感覚、家族や友人からの過去の接触経験などについても同時に調査し、これらの身体イメージ、身体感覚、過去接触経験と身体接触部位との関連を検討することとした。 また、気分や意識性の変化を意図して、発声をする場合がある。日常生活で、気分を盛り上げようとするときに大きな声を出したり、気分をなだめようとして深呼吸をする代わりに自分に語りかけたりする。また、東洋的修行の場においても、発声を修行の手段の一部としていることがある。その基礎的実験として、発声の種類変化(あ行、か行、さ行等の50音行や「きゃきゅきょ」、「ぎゃぎゅぎょ」、「ちゃちゅちょ」、「なゃにゅにょ」等)の発声による意識性への影響の検討については、データの分析中である。
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