呼吸運動と感覚との関係、呼吸とリラクセーションとの関係、呼吸の臨床的効果の検証、呼吸の現象学的分析などから、呼吸の重要性が、指摘され、本研究では、精神的な活動と身体的な活動との両者に深い関連があると思われる呼吸の行動/心理/生理的影響を明らかにすることを目的とした。 1)行動/生理/心理の関係をみるために、呼吸運動のコントロールと自律神経系の変化、などを調べ、呼吸運動の変化が生体の心理/生理的側面にどのような影響を与えるかを調べるための実験実施及び結果処理プログラム作成を中心に行った。 2)生体の機能バランスを考慮して、呼吸コントローリ、自律神経系の測定、からだの動きなどの指標を用いて、心理/行動/生理レベルの相互関係を調べる準備作業を継続中である。 通常は、心の活動によって生体の活動がコントロールされているという考え方が一般的である。本研究では、生体の活動が心の活動に及ぼす影響、特に、呼吸に注目してその行動/心理/生理を考えることにより、健康心理学的立場を中心に、幅広い立場から心の活動と生体の活動との関係の検討を継続していく。 今後はこれらをもとに、東洋医学・東洋療法などにおける動き(太極挙や気功など)と呼吸パターンの変化や生体変化の関係、姿勢と意識性や気分変化と生理的指標との関係の検討、さらに、呼吸の実際的応用場面として、日常生活における呼吸パターンの連続計測とそのときの心理/行動レベルの対応関係をチェックし、呼吸パターンとその意識性との関係の検討を試みたい。
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