日本文化において自己認識が社会的に形成され発達する過程を明らかにするため、児童期から青年期にかけての横断的資料の収集を目的として研究を実施した。そのために、本年度は児童用相互独立的-相互協調的自己観尺度を開発し、さらにその信頼性と妥当性を検討した。既存の成人用尺度を基に、その内容と記述を平易にした暫定児童用尺度を作成し、小学校4.6年生児童に実施した結果を検討することにより、最終的尺度の完成をみた。また、項目分析、内的一貫性の検討、再検査法等により、本尺度の信頼性が満足すべき水準であることを確認するとともに、教師評定、児童用自己意識尺度、コンピテンス尺度等との相関に基づいて一定程度の妥当性を有することも確認された。併せて、相互独立的-相互協調的自己観の発達に関する予備資料も収集し、児童期から青年期にかけて相互独立性は減少し、相互協調性が増大するという示唆を得た。
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