本研究計画の目的は、自分と他者とを何等かの形で比較する社会的比較が、日本文化における自己のあり方に対して果たす役割を、発達的・文化的観点から実証的に闡明することにある。青年期を中心に児童期から成人期にわたる横断的資料の収集・分析を通じ、以下の成果を得た。 1.児童期における自己認識の方途を測定する手法の妥当性を確認した。 2.日常事態における社会的比較の発達的変化と、文化的自己観との関連を検討した。 3.自己認識方途としての社会的比較の発達的変化と、文化的自己観との関連を検討した。 その結果、青年期はおいてはその前後の時期に比して、各種形態の社会的比較の生起が著しく、同時に日本文化に特徴的な相互協調的自己観もまた伸張することが確認された。
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