平成6年時に看護短大の3年生だった者99名に、発達心理学のレポート課題として生育史を書いてもらい、その後質問紙調査を実施したが、それから2年経過した平成8年7月に(多くは看護婦になって1年数ケ月)、同様な質問紙調査を郵送法で行い、69名(70%)からの回答を得た。内的作業モデルや過去から現在の対人的環境のとらえ方、適応感がどの位変るか(変らないか)、様々な変化の様相はどう関係しているかに関するデータ解析を行っているが、その結果は平成9年度の調査と合せて報告するつもりである。内的作業モデル(以後IWMと略)及びその変化に関する様々なタイプの者に個別面接(Main等の Adult Attachment Interviewを参考にしたもの)を行って、IWMについてより細かく検討する予定であったが、被験者の勤務の都合で充分な数がとれなかったため、今年度は被験者によって記述された育成史を用いて、過去から現在の対人的環境のとらえ方について細かく検討することにした。1)幼少期からの各時期に彼女達にとって母親はどのような存在だったと現在思っているか、母親のとらえ方は時期によってどう変化するのか、2)生育史に見られる母親からの分離不安の内容などの検討を行っている。更に3)父親、友人、祖父母、兄弟、教師との関係のあり方についても分析・評定し、各時期の母親のとらえ方とIWMとの関連や、母親との関係と他の関係との関連、母親との間に問題があっても他の人との関係によってIWMは安定したものになるのか、どの時期のどのような関係が安定したIWMや不安定なIWMと関連するのかなどの検討をする予定である。
|