研究概要 |
平成6,7年度に看護短大3年生だった者201名に、2年前と同じ質問紙調査を2年度にわたって行い、134名から回答を得た。2時点の縦断的データを分析し、内的作業モデル(以下IWMと略)や過去から現在の対人的環境のとらえ方、適応感が、就職し看護職につくという経験をした2年間を経てどの位変わるか(or 安定しているのか)、IWMとその他の変数との関連の仕方は2時点でどう異なるのかの検討を行った。青年後期から成人期初期にかけて、1)以前の研究よりも多くのデータで、2)面接法も併用して細かく検討するという目的は、1)に関しては134名のデータでも2年を経ても様々な変数の安定性はかなりあることが明らかにされたが、2)の「検討の2時点での様相や変化について面接法で聞く」という計画は被験者の勤務の都合で実施できなかった。その代わりとして、3年時に書いてもらった生育史を細かく分析し、過去から現在の対人的環境のとらえ方についての検討を行った。1)幼少期からの各時期に彼女たちにとって母親はどのような存在だったと現在思っているかに関して、IWMと関連する形で評定を行い、2)幼・児童期のとらえ方と中・高校時代のとらえ方との関連を検討し、更に3)生育史に見られる対人関係の質-母親及び友人との関係のあり方-と質問紙で測定したIWM(現在の対人的枠組み)との関連について、全データを用いた量的分析及び各ケースについての質的分析を行った。幼・児童期の母親のとらえ方と中・高校時代のとらえ方とはかなり関連が強いが、異なる場合もあること、現在の対人的枠組みが安定しているか否かは、生育の過程で母親及び友人との間に安定した愛着関係や情緒的に離れ回避する傾向をもっていたかどうかと関係しており、特に現在の枠組みが不安定な者では関連が顕著だった。
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